クリエーター図トーク

1)展示作家との会談、作品制作コラボレーションを基軸に作り上げる映像配信とクリエーターの制作現場を訪れての取材。クリエーターはリレー形式でつなぎ、輪を広めていく。

2)クリエーターをスタジオにお招きしてのライブ配信・ゲストとのライブチャットも可能。

クリエーター図トーク Vol.005 -------------- 番組提供・株式会社ワコム

[臘彫刻師]杉本英輝(すぎもとひでき)

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1965年和歌山県生まれ。

1988年多摩美術大学彫刻科卒業後、蝋人形会社勤務を経て1990年より蝋人形のノウハウを生かした蝋彫刻制作を開始。1996年幼児期に考えた性をテーマに個展「性とメルヘン」を開催し、毎日多数の来場者があり好評を博す。

●こだわり

杉本氏は美術手帳をはじめとする様々な雑誌などに取り上げられているが、自分が伝えたいと思う事がなかなか伝わらないという事でBohemianではArtist HAL_が二日間にわたり取材させていただいた。その中で私なりに彼の人となりを理解し、作品へのこだわりも知る事が出来たと思っている。

 

杉本氏の作品は人体の部分を思わせる「フォルム」と「色彩」から組み立てられている。作品は制作に何年もかかってしまう事もあり、そのことから見ても彼の「かたち」へのこだわりは並々ならない。制作は粘土で原型を作る事から始まるが、そのフォルムを確定させるのは彼の脳と目でしかない。その彼の目は何所を向いているのか、映像だけではなかなか伝わらない。だからといって言葉で説明させるのも難しい。私はそれを私の皮膚感で感じてくる事が出来た。

●取材

取材初日は今までの仕事や作品歴についてお伺いし、作品を見せては頂く事ができなかった。作品は丁寧に梱包され開墾するためにはそれなりの準備が必要という事だ。彼は至極まともに見える風貌を持ち、話し方も穏やかで言葉の端々にユーモアも感じられる。そして、作品に関しては多く語ろうとはしない。彼の作品は彼と閲覧者のコミュニケーションの手段としてあり、作品の内部にまで語る必要性はないと考えているようだ。

 

後日、彼の作品は丁寧に開墾され私の目に触れる事を楽しみにしていたかのように待っていてくれた。作品は、ただ荷を解かれたからと言ってそのまま見せられるのでは無い。カメラを向ける前に丁寧にドライヤーを使い、毛の流れを作っている杉本氏の姿は彼と彼の作品が対峙する一面を見た気がする。セットされた作品は彼の持つ皮膚感がそのまま現れ、空間の中にその存在感を示していた。

●作品

杉本氏は「作品にはタイトルが付いて、はじめて”作品”となる」という。私自身の作品にもタイトルはとても重要だと考え、作品名には複線や様々な思いをこめる事が多い、それが閲覧者に対する礼儀だとも考えている。共感する考え方だ。個展では良く「無題」とキャプションが付いている作品があるが、その行為は子供を産み名前も付けずに放り出したような物ではないかと彼は話していた。

 

見せて頂いた作品は五点だ。作品それぞれに共通する事は人体を思わせる不確定な曲線のフォルムと皮膚感のある彩色、そして植毛だ。通常では考えられないような日数をかけて作られたフォルムには独特な手法を使った色彩が施され、最後に「毛」を植え付ける事によりフォルムを不確定にする。そのことは題名を付けられ展示された作品を閲覧者に対しゆだね、問いかけをするかのようである。

 

技術的な話ではあるかも知れないが、私も絵を描く時、白紙に描くよりキャンバスに様々な要素をランダムに盛り込み、その中から最終的に導き出された形を描いていくという事を良く行うが、彼の場合はその行為自体を観客に求めていくと言う姿勢なのだろう。彼の作り出すフォルムを見ていると見る側の概念を打ち砕き、新しい思考を持つ事を余儀なくされていく。

 

作品は人体のフォルムを固定して作られた物ではなく、人体そのものが持つ定まらない形を中心に有機物無機物を問わず様々な物を融合して作られていると言う。滑らかで、とらえどころのない形は何処かで固定させなければ作品として成立する事はないが、彼の作品は目にした直後、今見た形が変化してしまうかのような気持ちにさせられる。透明感のある彩色についても同様の事が言える。

 

不確定な形の形成、彩色、植毛によりさらに不確定な要素を積み上げる彼の行為は、「不確定」という言葉にしてみると全然違う物のように聞こえてくる。しかし、彼の作り出した形態は力強く、同じアーティストである私の目から見ると、彼の見る側に対する情け容赦ない剣が、彼の心の叫びとなり現れているかのように感じられてやまない。

 

Vol.005
杉本英輝
(*映像中「稲垣太郎氏」とありますが
「稲垣足穂氏」の間違いです)
heya
部屋の中で
杉本英輝 作品
hen
かんのむし
inu
部屋の中で
<suzume
不倫
washi
想い出
 
hen
モモイロカゲロウ
inu
かんのむし・部分
<suzume
不倫・部分
washi
想い出・部分
作家:Artist HAL_  http://hal-i.com/
----アーティスト----

キャラクター制作・デザイン・グラフィックアートを扱い、特にペ イントアートには定評がありペンタブレットの株式会社WACOMで も紹介され、 Painterで有名なカナダCOREL株式会社サイトでは Painter Masterとして登録されています。

※フリーランス、aiD'en会員、Digital Image 会員、デジタルハリウッド講師、韓国KIDP客員教授

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